高くそびえ立つ表面的なものに中指たてた
大きく息を吸って
彼が多くのものに中指をたてたように

イルカが飛んだ

どこにも行きたくないけどここにはいたくない

高く飛ぶ


今日と昨日では、現代芸術の接触する問題は異なっている。あの極めて貧しい時期、独裁はとても残酷で、いかなる声を出させはしない
それなのに当時の彼らは理想主義的なものに満たされていて、体制に向って、民主と芸術を要求し、体制は当然厳しく彼らに対応した
今日の体制は現代芸術にたいしてもう興味ないのだ。
その最大の力は、経済の中からどのように最大の利益を獲得するか、どのように絶えず自らの合法性を強化するかに注がれている
もしあなたが今日これらの問題で体制と衝突を発生させれば、体制側は少しの躊躇もなく酷く対してくるだろう。
どうして多くの芸術家が今日ゆったりとした自由があるなどと思うのか
それはあなたが根本的に今日の社会変容の主流に存在せず、あなたが彼らの根本的な利益のありかに全く関わっていないからだ
アカデミーや学者たちが、今日のゆとりというのは、彼らがゆとりのある場所に隠れているだけで、この時代の体制にゆとりがあるわけではない
この時代はいかなる時代よりも酷いものだ
もしあなたが心から体制にゆとりがあるなどと思うなら、あなたの方が愚かだ
もしあなたが気を使ってものをいっているというのなら、恥知らずだ
やりたがっている淫売女が今日のお店は開けられないの。と言っているようなもの
2009 12/19 艾未未
大きな地震で死んでしまったのはだれだ
度重なる政治闘争の冤罪でしんだ魂
炭鉱に身を落とした労働者は、不治の病にかかっているのに治療を拒否されたのは、彼らはいったいだれだ
彼らは生前どんな痛みを負い、死後にどんな哀悼を獲得したというのか
失われていった悲痛の肉体と不安の魂に、誰かかつて呼びかけたことがあったのか
彼らと真に相通じる生存者はいったいどこにいるのか
濁った涙で視界がぼんやりする前に、世界がどんなものなのかを理解すべきだ
生者の無意識と無覚悟から、生き長らえた者の生命価値への軽視から、生きる権利と表現力の麻痺から、そして正義、平等、自由をはき違えたその時から、本当の死者の不幸がはじまる
2008 5/18  艾未未





つくったらこわしてこわしたらつくる
歴史は歴史でしかなく、感情を中庸で保つからこそ多くのことを学ぶ必要がでてくる
いらないこと考えてしまうならこわしてしまえばいい
価値などつけなくていい
多くのものがこわして新しくなるべきだ
できることならつくるために費やした時間と同じぐらいの時間でこわしてほしい
ただできたものに中指たてることになるだろうけど
そうなったらまたこわせばいい
そのときは美しくこわし方をねらなくてはいけない
すべてのために
またすべてのためにつくればいい
梅雨あけて夏のはじめ
ほぼ満載積んだ箱トラ
裏道入ってまたぐように町をはしる
川をわたって坂道登りきる途中でうばわれる
心臓の音を消す鉄を砕く大きな音。小鳥の声を消すユンボの動く大きな音

燃えない鉄が酸化して火がついたようにオレンジに錆び付いた視界を左右上下はみ出す鉄の山
トラックの中のもの背負ってるものも
なにもかも
捨ててオレンジに混じりあわせる
誰かがなにかと一緒にユンボで砕いて溶かしたり、プレスする
行き場のなくなったものが形になってどっかに使われ見えないとこでさびつく
無精髭で長髪の深く帽子被った同じぐらいの背丈のホームレスがこんなとこで寝るなって
昨日あった人が応援した
夢見て急降下しながら廻りはしゃぎ躍る
大きく開いた穴のずっと先にいるひかりのほうに手をあげてるやつめがけてNGなしのタランテラ
あいつは死んだ
たまに夢に出てくるあいつは昨日は箱を渡した
眼を閉じても入り込んでくるまぶたの裏にこびりついたオレンジ
もえている